1票の格差をできる限りなくしてみよう

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※冒頭の画像は本文と関係ありません。

1票の格差が話題になってるので、2014年冬の衆議院選挙で一票の格差をなくしたらどうなるかをざっくりと計算してみました。ゼロ増5減とかで話題ですが、そもそも格差をなくすことができるのか?ということを雑に計算して検証してみるのが狙いです。

1.都道府県単位での有権者の倍率を考えてみる

まず、各都道府県の人口から。

http://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/data/sangiin23/index.html

各都道府県の有権者数はこちらにxls形式のファイルで置かれてます。今回使ったのは第23回参議院選なので2013年7月現在のデータ。1年のタイムラグがありますが、まぁ大丈夫でしょう。

さて、このデータから確認すると、最も有権者数の少ない都道府県は鳥取県で48万2192人です。鳥取県の有権者数を1倍とし、そこから都道府県ごとに倍率を算出し、倍率をそのまま議員数に換算してみます。つまり3倍の県は議員を3人とするわけですね。

g01

計算結果がこんな感じ。北海道が意外と人が多いんだなーということにも驚きつつ、東京都が22倍なのはさすが。ちなみに鳥取県と比較して四捨五入して1倍、つまり議員を1人しか選べない県は福井・山梨・鳥取・島根・徳島・高知・佐賀の7県です。言い換えると、その7県はたった1人の議員が県を代表した唯一の議員となるわけです。

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参考までに鳥取県の議員を2人にした場合、3人にした場合のデータがこちら。四捨五入しているため、単純に2倍・3倍となってないところがポイントですね。データが多すぎて分かりにくくなってますが。

 

2.そもそも1票の格差って?

表題に戻って、そもそも1票の格差とはどういうことか。端的に言うと、有権者1人の票の価値が地域で変わってしまうということです。A区とB区でともに1人ずつの議員なのに、A区の有権者は100人、B区の有権者は200人ならば価値が2倍になってしまいます。A区での50票ならば半分の信任を得ているのに、B区で50票ならば1/4しか信任を得ていないということになりますね。

1票の格差を考える際に有権者の数で単純に考えていいのか。未来の有権者を考えると人口で調べたほうが良いのではないか。有権者であっても投票しない人は数に入れないほうが良いのではないのか。……という議論もあるみたいですが、ここではざっくりと有権者を基準に調べたいと思います。

というわけで計算してみましょう。議員数に対して有権者数で割った値を1票の効果と換算します。つまり、有権者が48万2192人居る鳥取県で1人の議員が選ばれるならば、1票の効果は1分の48万2192です。議員が2名ならば2分の48万2192になりますね。議員が一人増えるだけで1票の効果が一気に2倍に増える。そして1票の効果が最も低い県との差を1票の格差と計算してみます。

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計算した結果がこちら。倍率1が格差ゼロのため、グラフの下端を1.00にしています。基準1名(鳥取県で議員1名)ならば格差は最大で1.69なのですが、基準3名(鳥取県で議員3名)ならば最大格差が1.19にまで縮まります。つまり、議員の数が多いほど格差が縮まる、ということですね。

議員数が少ないところ(つまり鳥取県)が一番格差が大きいのかと思ったらそうでもなく、どちらかというと鳥取県からの有権者数の倍率が0.5倍刻み前後のところが影響が大きいようです。つまり、この計算では小数点以下を四捨五入してしまってるため、鳥取県の議員数を増やすと誤差が大幅に縮まる、と。例えば香川県。鳥取県と比較すると有権者数は約1.71倍。鳥取県が議員1人ならば1.71人なので四捨五入して2人。鳥取県が議員2人ならば3.42人となるため、四捨五入して3人になります。

とはいえ、基準1名で全議員数が209人、基準2名で437人、基準3名なら647人なので現実的にはかなり厳しいですね。現在(2014年冬の衆議院議員選挙)の小選挙区選出議員定数が295人ですから、基準3名はほぼ不可能に近い。

 

3.小選挙区単位で考えてみる

さて。ここまでは県単位で考えていましたが、もうちょっと現実寄りに考え直してみましょう。つまり、小選挙区単位です。

 

それぞれの選挙区の有権者数は分かりやすいところに無かったので、ざっくりと計算してみます。すなわち、それぞれの都道府県の有権者数を区の数で割るという計算。有権者が48万2192人の鳥取県は2区なので、1区には48万2192/2人の有権者が居ることになります。実際には有権者数を完全に等分することができないのですが、その辺を考えると面倒ですので。

すると、区あたりでの有権者が最も少ないのは……やっぱり鳥取県でした。1区あたり24万1096人。一方、一番多いのは東京都で43万1093.32人でした。25区もあるのに。

では先ほどと同様に、区ごとに倍率を算出し、議員数に換算してみます。今回は鳥取1区で1名(基準1名)の場合と2名(基準2名)の場合を計算してみましょう。ついでに1票の格差も。

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基準1名(鳥取1区で2名)で1票の格差は最大2.00倍、基準3名でようやく最大1.47倍となりました。県単位では基準3名だと最大で1.19にまで縮んでいたのに対し、小選挙区制だと1.47倍にしか縮まらないというのはその辺を考慮して小選挙区が決められていたのだと思っていただけに、ちょっと意外。

ちなみに、基準3名(鳥取県で1区当たり3人の議員)の場合は合計1263人なので現実とは離れすぎてますね。頑張って格差を狭めようとした結果が最大1.47倍って。

 

4.まとめ

というわけで、ざっくりと計算した結果。都道府県単位の中選挙区制にして、今現在で2区しかないような都道府県を1区にすれば1票の格差は解決しそうです。もしも現状のように一つの都道府県から最低でも2名(つまり最低でも小選挙区が2区ある状態)を維持しつつ1票の格差をできるだけ減らすならば、小選挙区制で選出される議員数を今より100人以上増やさないといけない、と。

もっとも、現実的には『1票の格差が最大で2倍未満ならまぁいいでしょう』程度のところで落ち着きそうな気がしますけれど。格差是正の為に議員を増やすのは嫌だという価値観を優先する以上、限りなく格差をなくすことは無理でしょうね。

参考までに、今回計算に使ったxlsファイルを置いておきます。雑な計算だからどこかで間違えてそうな気がしてならないんですけれども。

今回使ったデータはこちら

 

本題とは関係ないんですが、Excel以外で棒グラフを綺麗に作れるツールとかありませんかね。関数の解析とか、円グラフのツールはあちこちにあるんですが、棒グラフが意外と無いんですよね……。

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