気が付いたら、もうすぐバック・トゥ・ザ・フューチャーPart2の時代が迫ってたので、どれぐらい近づけたのか検証してみようかと思いました。
観たことない人に説明しておきますと。バック・トゥ・ザ・フューチャーシリーズは3部作で、デロリアンという車に乗って過去へ未来へタイムスリップするのが特徴。無印は主人公の父親が学生の時代に、PART2は主人公の子供が主人公と同じぐらいの年齢に成長した時代に、そしてPART3では西部開拓時代にタイムスリップします。
シリーズ全体の面白さはあちこちで語られてるので省略します。
さて、PART2がタイムスリップしたのは近未来だったのですが、実はそれが2015年10月21日。あと1年しかないんですよね。当時からすると遠い未来がすぐそこに。
そんなわけで、劇中に出てきたギミックがどれぐらい現実化されたかを検証してみようかなと思います。もちろんネタバレありなので、映画を見てない人は先に見てからのほうがいいですよ。
ちなみに映画が公開されたのは1989年。20年ぐらい前ですね。
●生ごみを燃料に使った自動車
PART2のデロリアンはなんと生ごみで動く。さすがにここまでのものは出来てませんが、生ごみで発電するシステム自体は既に実用化されてます。(参考リンク)
生ごみを発酵させてメタンガスを作って発電という流れなので、『家庭の生ごみを車に突っ込むとNkm走れる』みたいなのは難しそうです。
●正確な天気予報
天気予報の精度は上がってますが、さすがに「あと5秒で止む」といったところまでは精度が上がってないです。
昔のSFだと、未来の天気はすべて管理されていて、自由自在に操れるような表現をしているものが多いですが、今のところその気配はなさそうです。雨が足りない時に水を撒くぐらいはできますけれど。
●若返り手術
医療技術は進歩してて、整形手術や臓器移植はだいぶメジャーになりました。もっとも、金額的にはまだ庶民には難しい技術ですが。
いずれは数千円で臓器移植とか皮膚移植ができるかもしれませんが、このあたりはまだ技術の進歩待ちといったところでしょう。
●顔認識機能付き双眼鏡
双眼鏡にこういう機能はありませんが、顔認識機能だけだったらスマホのカメラに標準搭載されました。これはまさに近未来といった感じ。勝手に顔にフォーカスを合わせる機能とかもあるみたいです。
今のところ無機物と有機物を見分けられないので『壁の染みを顔と認識』とか『写真撮ろうとしたら観光客じゃなくて大仏にフォーカスが合わさってしまった』とか地味なトラブルはあるみたいですが、これは未来に追いついたと言える技術だと思います。
●1ボタンで紐が締まる靴
ボタンを押すだけで紐が締まる靴。これは地味に『実用化しそうでしない技術』。他のフィクション作品で例えると、エヴァのプラグスーツみたいな感じです。
靴のデザインはいろいろありますが、今のところこういう靴は見かけませんね。靴底が斬新なデザインになったりといった進歩はありますが、ボタンを使ったギミックがある靴というのが極端に少ない。
ファッション系は機械を使わないものが多いですね。やっぱり水洗いすることを考えるとチップだけでも挿入するのは難しいんでしょう。
<追記ここから>
とか思ってたらこんな靴が出るらしいです。
ナイキ、バック・トゥ・ザ・フューチャーIIの自動靴ひも調節シューズを来年発売
おおお!とか思ったら、あくまでもデザインだけであって自動調節機能は無いとか。残念。
</追記ここまで>
●ポケットを外に出すファッション
今のところ広まってませんが、電通ががんばってくれれば実現できるかもしれません。
●弁護士の廃止
この辺はあまり変わらず、むしろ裁判員制度によってもっとややこしくなってます。アメリカはどうだか知りませんが、日本の場合は逮捕から判決確定までの流れはずーっと変わってなさそうです。
とはいえ、法廷でメモを取ることが禁止されてた時代もあった(参考リンク)ので、そのころに比べると若干の変化はありますが。
●自動ガソリンスタンド
ガソリンスタンドはセルフスタンドばかりになっちゃいました。全部機械にやらせればいいという発想ではなく、全部客にやらせればいいという逆転の発想。
ただ、おかげで人件費を極限まで削減できたものの、サービス料やそれに付随してオイルとかを買わせる商法が出来なくなったので、これは良かったのか悪かったのか。少なくとも、SFらしさは無いですね。
●立体映像
ようやく映画館でも3D映画が見られるようになってますが、基本的に赤と青のセロファン貼ってた時代と変わってないんですよね。原理的には。
裸眼での立体視だとニンテンドー3DS。やっぱりインパクトは大きいですが、昔考えていたような「フィギュアのような立体映像が映る」というのは難しいかなー。
とか思ってたのですが、ググったらこんなんが出てきました。あと15年ぐらいすれば映像作品として実用化される可能性もあるかも。
●空飛ぶ乗り物
劇中に登場したのは空飛ぶスケボー。自動車もたくさん飛んでました。昭和の世代に考えられていた未来像って、やたらと空飛ぶ乗り物がありますね。
ホバークラフトみたいな乗り物はありますが、今のところ『低空飛行する個人用乗り物』は実用化されてません。一番未来っぽいのといえばセグウェイですかね。公道は走れませんが。
●自動で料理が出てくるカフェ
劇中で出てきたこの施設はバーなのかファミレスなのかわかりにくい感じですが、とりあえず『音声認識で頼むと自動で出てくる』というシステムみたいです。
タブレットが普及したので、メニューが自動化されてる居酒屋はチェーン店で結構あります。タブレット化は店員側にもあって、サイゼリヤなんかだとiPod touchを使ってます。
が、音声認識による自動注文ってのは今のところは無さそうです。そもそも音声認識って未だにそこまで制度が高くないので、タブレットでメニューを選ばせた方が楽。
そもそも飲食店って今のところ食べ物を作るのがある程度自動化されているとはいえ、注文からテーブルに届けるまでを全部自動化する飲食店ってのは未だに存在してないんじゃないでしょうか。ドライブインでハンバーガーが出てくる自販機みたいな感じ?
●手を使わないゲーム
劇中では主人公がよく遊んだゲームを得意げにプレイし、未来の子供たちに「なーんだ。手を使うゲームなのか」とか言われちゃってます。
今のところ、コントローラを使わないゲームに当てはまるのがXbox360のKinectですね。センサーに手や体の動きを読んでもらうといったもの。既存のコントローラと違うという点だけならWiiもありましたが、完全にコントローラなしなら今のところKinectぐらいしかないです。
しかし、2010年に登場したのに2014年2月上旬の時点で75本しか発売されてないのがキツイ。(参考リンク)インディーズゲームならもっとたくさんあるかもしれませんが、それにしても本数が少なすぎる。
ゲーム人口が飽和してるのとかいろいろ要因はあるかもしれませんが、今現在ではコントローラを使わないゲームが流行るという兆しは無さそうです。それとも、念じるだけで動かせるゲームが登場したり?
●塵除けペーパー
劇中では、「塵除けペーパーができる前は本にカバーをつけて汚れを防いでいた」と骨董品扱いで紹介されてました。今のところ、一般的に売られてる書籍にはまだカバーが付いたままです。
ただ、無塵紙(クリーンペーパー)自体は実用化されてて製品になってます。主に工場のようなチリを発生させたら行けない場所で使う道具です。クリーンルームでは細かいほこりですら入ると製品が正常に作れなくなるので。
もっとも、それなりのお値段ですので通常の書籍には不要ですし、そもそも最近では電子書籍もありますから、無塵紙を使った書籍というのは一般書店には出てこないでしょう。
●冷凍睡眠
字幕では無次元の動物病院となってますが、吹き替えでは仮死状態と言われてます。
コールドスリープ(冷凍睡眠とも)はSFでありがちな内容ですが、未だに実現してません。wikipediaを見る限りだと、復活させても細胞が元通りにならない可能性もあるようで。遺体の冷凍睡眠はともかく、生きた動物は難しそうです。
ちなみに、卵子や精子を液体窒素で凍らせて保管する技術は実用化されてるので、親が死んだ後の世界で遺伝子を受け継いだ子どもができる……ということは可能そうです。倫理的な問題はありますが。
●自動で動くゴミ箱
原理的には可能ですが、そこまでコストかけるメリットが無いので今のところは製品化されてないです。ただ、自動で動く掃除ロボが登場したのはSF的かも。
●指紋データベース
指紋のデータベース自体は存在しますが、それが一般人にまで広まってるということはないです。この辺はプライバシーの問題もあるんでしょうけど。
技術的には可能なので、どちらかというと倫理的な問題でしょう。犯罪者なら指紋データベースはあるかもしれません。
●指紋認証によるロック
これはセキュリティルームなんかでは実装されてます。最近だとiPhone5Sに指紋認証システムが登場したものの、「そもそも指紋って身近にあるからパスワードよりも危険」という状態になってます。セキュリティ問題を考えると何が一番安全なのやら。
それはともかく、一般家庭のドアに指紋認証というのはまだ広まってないです。ごく一部の富裕層は使ってるかもしれませんが、一般人が使うにはちょっとコストが高すぎる。
●窓枠に風景の映像
ラブホにありそう。もっとも、劇中ではスクリーンに投影してるだけですが。
プロジェクター自体はどんどん小型化してて、最近ではスマホサイズのプロジェクターもあります。壁一面に絵画を表示させ続けるような文化はありませんが、プロジェクター自体は個人でも手に入りやすくなってると思います。映画がつくられた当時(1989年)はOHPとかを使ってる大学が多かったでしょうし。
オフィス用だと、ホワイトボードの上にハンガーぐらいの装置をセットするような超単焦点のプロジェクタもあるようで。(参考リンク)遠くから投影してて人が邪魔になるということがなくなりそうです。すごいなー。
●ぎっくり腰用の医療器具
今のところ、腰痛に効く対処法が『寝てる』『湿布貼る』ぐらいなので、ここまでアグレッシブな医療器具は無いですよね。
●指紋認証による会計システム
指紋による管理システム自体がセキュリティ面ぐらいなので、こういった会計部分には使われてないです。劇中では指紋認証でタクシーの料金を払ってました。
これに近いシステムだと電子マネーですよね。SuicaとかPasmoとか。1枚持っていればコンビニも飲食店でも使える。タクシーでも使えるかもしれません(利用しないからよく分からない)
お金がすべてカード化されるというのは相当先だと思いますが、何でもかんでも電子マネー対応してくれるのはありがたいです。セキュリティ面やプライバシー面では、まだ議論が必要ですけれども。
●上から出てくる観葉植物(フルーツつき)
謎インテリア過ぎてコメントしようがないです。
●多画面モニタ
一時期、1台のテレビで複数チャンネルが見られるタイプのがありました。日本では地デジが始まるとカードが必要になってしまい、結果としてカードが複数ないとダメになってしまいましたが。
そもそも、1台のモニタで複数チャンネルを同時視聴すること自体が無意味だということに気づいてしまい、そういう技術は全然広まりませんでした。むしろ、スマホやタブレットのおかげで1人1モニタという時代になりつつあります。
●全自動犬散歩機
今のところ、ペットの散歩を自動化させるものは登場せず、むしろ健康の為に積極的に散歩をするようになってるかもしれません。散歩を引き受ける何でも屋はありますけど。
音声認識の飲食店もそうですが、『やろうと思えば機械でもできるけど人間を雇ったほうが安い』というものがやたらと多く、その辺が解消されるまでは全部自動化というのは難しそうです。
●レンジでチンすると膨らむピザ
フリーズドライがこれに近いのですが、今のところここまで膨らむ製品は出来てません。映画を見た時に一番魅力的だったのがこれでしたが。
スープ系ならともかく、固形だとフリーズドライも難しいでしょうし、そもそも大きい食べ物を小さくするメリットってのがあまりなかったのでしょう。ロマンあふれる未来技術なんですけどねー。
●メガネ型モニタ
これはもう実用化されてます。
とはいえ、あまり広まってなさそうな気が。このディスプレイを使ったゲームとかソフトがたくさん出れば変わるかもしれませんが、今のところはモニタに熱中しすぎて他の声が聞こえなくなるとか屋外では使えないとか問題点があってなかなか広まってない様子です。SFっぽくてロマンあふれるガジェットなんですけどねぇ。
●テレビ電話
スマホでもノートPCでも搭載されていることが多く、スマホなんかはほぼ標準搭載されてるっぽいですが、あれを使ってる人を見たことがない。動画配信で使う人は多いですが。
結局、『場所を関係なく通話できる』という電話の特性に合っていなかったのでしょうけれど、「未来技術として望まれていたけれど実際に使ってみたらイマイチ」というのが現実でしょう。前述した手を使わないゲームとかもそうなんでしょうねぇ。
●家中にあるFAX
そもそもFAXというのが無くなりました。一部の自営業や会社にはありますが、個人で所有してる人はほとんどいないのではないでしょうか。
代わりに、無線であちこちからプリンタを操作というのが一般化してます。もっとも、家庭の場合は「プリンタを買わなくてもコンビニでコピーできる」という時代になりましたが。
……というわけで、劇中に出てきた未来技術を全部検証してみました。全部紹介したら予想以上に未来技術がふんだんに出てて大変でした。丁寧に作られた映画だったなー。さすがはスピルバーグ。
昭和の頃は未来技術というと「やたらと空中に浮いてる」「何でもかんでも音声入力」というのが多かったんですが、今考えると空中に浮くメリットってあまりないし危険だし、音声入力ってあまり精度がよくないしボタン押したほうが楽だったりするんですよね。
あと、技術的に可能だけどコストがかかりすぎて実現しない技術とかもありましたね。窓に風景を表示させ続けるとか。オフィスとかでは実現されてるかもしれませんが、家庭でやるには高すぎる。
あと1年ではあまり先端技術が進歩しないかもしれませんが、3Dプリンタのように既存の先端技術が安価で量産されるといいなーと思ってます。
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