国芳国貞展行ってきた

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どうも、嘴です。

ふらっと渋谷に遊びに行ったときに国芳国貞展(正式には『俺たちの国芳わたしの国貞』というタイトル)をやってたので、行ってきました。結果としては、展示方法に若干の不満があったけど内容は大満足という感じでした。行って良かった。

……という記事を書こうと思って、途中まで書いてから放置してたらこんな日に。既に展示は終了しています。

 

 

国芳さんと国貞さんの2名の作品を集めたのが今回の国芳・国貞展。似たような名前なんですが、作風が対極的なので、並べて展示しているからこそ際立っていました。『俺たちの国芳』として紹介される国芳は、怪獣と背景が得意で男性ファンが多く、『わたしの国貞』として紹介される国貞は小物や人物画が得意で女性ファンが多いという対照的な感じなんですよね。

たとえば江戸時代のイケメン役者を描いた絵を比較すると、国芳は割と大人しい服装なのですが、国貞はカラフルな服に加えて髪も丁寧に描いていました。一方、戦闘シーンの絵を比較すると、丁寧な背景と大胆な構図で描く国芳のセンスが光っていました。

いろいろなジャンルごとに分けて展示されていたのですが、それぞれの作品に作者が記載されているため、その差が各々のジャンルで際立っていたのが面白かったですね。おそらくそれぞれを単体で展示しても「フーンすごいなー」程度で終わったんじゃないでしょうか。

 

国貞の作品で個人的に気に入ったのは楽屋裏を描いた作品群。歌舞伎役者が舞台裏で過ごしている様子を想像して描いた作品群なのですが、今で言うならば「もしもあのキャラが喫茶店の店員だったら」みたいな感じでしょうか。

ファッションだけでなく小物も好きな国貞による作品だったので、とにかく細部までびっしりと描かれているのが大きな特徴でしたね。ただでさえ人物が所せましと大量に描かれているのに、鏡の前に座った女性のそばに櫛だの化粧品だのポーチ(っぽいもの)だのと生活感を感じさせるような小物を丁寧に描いていたのがとても印象に残っています。

 

一方、国芳の作品のなかで個人的に気に入ったのは合戦を描いた作品群。当時は割と平面的な構図の作品が多く、奥行きがあってもせいぜい人3人分程度。それ以上奥行きがある場合は完全な遠景メインでした。

個人的には当時の文化として『舞台を見る』タイプの娯楽が多かったからだと思っています。言い換えると、舞台の様子をそのまま絵にした感じ。今の映像のように360度から撮影できるわけではないんですよね。

しかし前述の合戦を描いた作品は、ひらりと飛び上がる兵士や、怪力で門を破壊する兵士など、まさに決定的瞬間をカメラでとらえたかのような作品ばかり。車田正美にありがちな必殺技+吹っ飛ぶモブキャラみたいな構図がこんな古くからあったとは。

 

と、展示された作品についてはかなり楽しめたのですが、一方で展示の仕方に結構不満があったのも事実。

まず、ジャンル名がダサい。どの層を狙っているのか分からないのですが、漢字名に英名のルビを振ってるんですよね。『物怪退治英雄譚』というジャンル名に「モンスターハンター&ヒーロー」ってルビを振ってるんですよ。小学校高学年かよ。

あと、英名のルビを振っている割に英文による解説が少ないのもがっかり。各ジャンルの大まかな解説部分は英文が書かれているもののの、作品タイトルは英名が記載されてないんですよね。中途半端。

 

というように、ある程度の不満があったものの。おおむね楽しむことができたので良かったです。似た時代で似た絵を描くけど得意ジャンルが異なるという2人に絞ってまとめて展示というのは、差が分かりやすくていいですね。

 

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