『小林さんちのメイドラゴン』の漫画版面白かった

標準

2016年冬アニメは結構面白いのが多かったと思ってるんだけど、小林さんちのメイドラゴンは異界人とのドタバタ日常モノとしてかなり面白かったなと思う。で、せっかくなのでと原作のほうも読んでみたらアニメとはまた違った面白さがあって個人的に大満足。

どこで連載してたのかと思ったら、月刊アクションだったんだな。てっきり少年誌かきらら系だと思ってたので、割とエロいネタが出てくるのが意外な感じ。

 

 

個人的にとてもよかったなと思ったのが4巻以降の展開。メイドでドラゴンであるトールは作中で『破壊と支配を望む混沌勢』という扱いだったんだけど、アニメだとその辺があまり深く掘り下げられてなかった。なので、イルルという混沌勢の中でも破壊を楽しむ過激派が出てきてない。

勝手に推測すると、キャラクターが多すぎると1クールではさばききれないんじゃないかと判断した結果なんじゃないかな。イルルを出す場合は片付けないといけないエピソードが多いし(4巻はほとんどイルル周りの話だった)。まぁ、無理矢理キャラを出すよりはアニメオリジナルをちょいちょい挟みつつ1クールで丁寧にまとめたのはよい判断だったと思う。原作では2巻の時点でサクッと語られていた実家との確執をラストに持ってきたのも良かった。この辺のさじ加減は無限に続く連載漫画と1クールと決められたアニメでの違いなんだろうけど。

 

そんなわけでアニメ未登場のイルルなんだけど、このキャラはトールと同様に『人間とドラゴンは相容れない』という信念を持ったキャラ。トールは紆余曲折あって小林にベタ惚れだから別にいいんだけど、そうではない上に人間社会を破壊したいキャラの場合は?というのがイルルがらみの序盤の展開。

『自分の信念とは異なる存在とぶつかった時にどうするか?』というのがイルル登場以降は割と随所で描かれるようになり、ただの日常モノコメディと油断させておきながら、いかに価値観をすり合わせていくかというのをメインテーマとして描いていくのが上手い。

2巻でトールVSトール父のやりとりから『価値観が違うならば離れたほうが良い』という部分を描いていた。4巻ではそこからさらに踏み込んで『価値観が違ったら衝突するのではないか?』というテーマを掲げながら、それに対する解を見出していく。さらに5巻では全員とある程度仲良くなった状態からの「これから争わない日々が続くか?」「何となく見て見ぬふりしていたが自分たちの関係とは?」と関係を見直していく話が多く、一度仲良くなったらそれで終わりじゃないよね、決して争わないわけじゃないよねという要素を見せながらも関係性の継続について語られている。

 

結果として作品全体で価値観が違う人と出会ったときにどうするか、どういった距離感を保つか?というコミュニケーション全般・対人関係全般について描かれている。

 

価値観が合わない存在に会った時、どうしても説得するという手段をとりがち。フィクション作品でも説得されて悪が改心するというのは王道でもある。ただ、この作品においてはそもそも人間以外の種族は一枚岩ではなく、調和・傍観・支配と複数の派閥があり、さらに同じ派閥でも穏健派と過激派があったりとかなり複雑なつくりになってる。ゆえにどれか一つの価値観に合わせていくというのがとても難しい。

そういう複雑さを作品全体に抱えているんだけども、説得せずに『(危害を加えないならば)それでいいや』と許容していくのがこの作品の良さだと思う。面白い構造だし話に深みを持たせている。

 

人外と一緒に暮らすことになるというドタバタコメディの体裁は維持しつつも他人との価値観のすり合わせについてを重すぎずに丁寧に描いてて、単なるコメディだけではない深さを持っててとても面白かった。こういう多様性をテーマにしたものは普通の人間でも描けるなろうけれど、人外を扱うことで生々しさをうまくコメディチックに緩和しているように思う。

アニメとはまた違った良さがあるので、ぜひ原作も読んでほしい。

 


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。